ブックレビュー「限りある時間の使い方」
よくある自己啓発本の類かなと思いながらこの本を買ったんですが、いや全然違いました。
タイムマネジメントの本…ではなく、時間に対する考え方の改め方について書かれた本です。
現代社会では、我々はタイムマネジメントを如何に効率よく行い、時間を「使うか」という考え方をしてしまっている。
でも時間は使うものではなく、時間そのものが「人生であり生きるということである」と言う話。
その結果、人は自分がどこにいるのか分からなくなって彷徨っている…と理解しました。
だからこそ、これだけ発達して、昔よりもはるかに飢餓のリスクも減り、生存年数も平均して上がっているのに、決して昔と比べて幸せになっているわけではない、というのが新しい気づきです。
なぜ時間を効率的に使うと我々を不幸にするのかと言うと、単純な話、効率よく時間が使えるようになると、さらにタスクが舞い込んでくるので結局もっと効率を求める状況になり、いつまで経ってもその辛い状況からは逃れられないからと理解してます。
じゃあどうすれば良いかと書かれている内容は、一つは、命には限りがあるしだから時間にも限りがあるだからこそ諦めることを選択しているという意識を持つ必要があるという点でした。
例えば私は独身ですが独身という選択をする代わりに家族を持つという選択肢を捨てているとも言えます。
逆に結婚した人からすると独身という一人でいる時間を捨てたとも言えます。
何かを選択するということは何かを捨てているというのが逆転の発想で私には衝撃的でした。
またもう一つは、現実を生きろとも書かれています。未来について生きることも私は大事だと思いますが、ただ未来ばかりを見ていると今を生きていないことになるという点を著者が警告しています。
そうなるとなんだか生きている実感が減ってくる。
結局、未来というものは存在しなくて存在するのは今だけなんですよね。
どんなに未来のために計画をしても今やらないと何も進まないのは事実です。
だから自分にとって高すぎる目標を持つのではなくて到達可能な目標であって、今私が今日この瞬間にできることの継続でできるような目標を立てることが大事だと理解しました。
(もちろん長い目でのビジョンは持っておいた方が良いでしょうが、それが実行できなければ絵に描いた餅です。)
なお、具体的にどうすればよいかと言うのは巻末にまとめられているので、参考になると思います。